クルマを運転する限り起こりうる事故!
不意にぶつけてしまった!
意外と衝撃はあったもののクルマの壊れ方に派手さが無い・・・
しかしボンネットやフェンダーの隙間がずれている???
バンパー交換だけで済みそうかな???
ちょっと待った!!!
バンパーは樹脂で出来ているため元に戻る性質があります。
バンパーを取外しクルマの骨格内部を確認するまで損傷は分かりません。
フレームが曲がっている可能性も!!!
(今回は曲がってるパターン)
そんなクルマの基礎となる最も重要なフレーム修理事例をご紹介します。
損傷診断

今回の修理車両
トヨタ ビッツ
損傷入力

フロントバンパー右側からの入力

時計の表示で例えます。
正面が12時だとしたら右側斜めからの衝突ですので2時方向からの損傷入力になります。
ボンネットの隙間(すきま)を確認!

運転席側の右フロントフェンダーとボンネットのスキマが広い。

反対側の助手席側です。
こちらは左フロントフェンダーとボンネットのスキマが狭い。

左フロントフェンダーとボンネットが接触したキズがあります。
フレームに損傷あり

▲こちらは修理途中の画像です
バンパーを取り外したら赤丸のバンパービームに当たりフレーム(骨格部位)に赤矢印の方向から損傷がありました。
この損傷でフレームが曲がり(助手席側へ振ってしまう状態)ボンネットの隙間が狂っていた事が判明!
こうなってしまうとボンネットの隙間調整だけでは直りません!
それでは修理の模様をお伝えします!
ジグ式フレーム修正機にセット

自動車メーカー発行ボデー寸法図を元に計測器がついたフレーム修正機にセットしていきます。

クルマのアンダーボディー
ロケートホールと呼ばれる左右対称の丸い穴にジグを立て計測&固定をします。

こちらはアウトリガーの25mm幅のロケートホールを利用!
クルマのアンダーボディーの中でも鉄板の板厚があり最も硬い部分。

フレーム先端付近の計測ポイント!
こちらのジグを立てるとフレーム寸法の狂いが確認出来ました。
フレームが何ミリ狂ってる?

バンパーを取り外すと、ぶつかった損傷が右フレームにありました。
赤丸が自動車のフレーム部分。
フレームは左右1本ずつ前から後ろまでつながっています。
そして簡易計測の結果フレームのズレを確認!
赤矢印の方向へフレームがズレていました。
まずは基礎となるフレームを直すためフレーム修正機にクルマをセットして高さ・長さ・幅の3次元計測をします。
そうするとフレームが何ミリズレているかを正規に確認することが出来ます。
右フレーム

右フレーム
画像はフレーム幅の計測です。
これにより左右のフレームの狂いが計測できます。
正規の位置は赤矢印の465mm
計測位置は457mm
8mm助手席側にフレームの寸法が狂ってます。
正規の位置に戻すには青矢印の方向へフレーム修正作業を行います。
左フレーム

左フレーム
続いて損傷が無かった左のフレームです。
ですがバンパービームと呼ばれる部品が左右のフレームにつながって付いているため左のフレームにも狂いが生じます。
正規の位置は赤矢印の465mm
計測位置は471mm
こちらのフレームの狂いは6mm
計測結果は右は8mm・左は6mmの寸法がズレていた事が確認できます。
フレーム修正作業

車両固定&計測後にフレームを元に位置に修正する作業を行います。
修正ポイントを判断し油圧10tタワー・チェーン・クランプを使い作業します。

ちなみに赤丸部分がバンパービームと呼ばれる部品です。
メーカーによって呼び名が異なります。
リーンホースやホースメントなどなど・・・
フレーム修正完了

画像は右のフレームですが正規の位置465mmにストレス無く修正完了です。

ご覧の画像が修正後です。

バンパービームが取り付くフレーム先端の寸法もチェックします。

正規の位置が計測できればOK!
部品の仮合わせ

フレームの寸法修理を完了後にラジエターサポートと呼ばれる内板骨格部品も同時に取り替えました。
そして一旦、フェンダー・ヘッドライト・フロントバンパーを取付けて隙間や建て付けのチェックを行います。
ラジエターサポートとはライトやラジエター・クラーコンデンサーなどが取り付く骨格部品です。
フレームの寸法がズレているといくらラジエターサポートを新品にしてもボンネットやフェンダー・ライトの位置が正確に取り付ける事が出来ません。
※結果、ボルト穴を広げたりする粗悪な修理が行われたりします。
注意しましょう!!!

広がっていた右側ですがフレームを正規の位置に戻すことで直りました。

左のすきまも同様。

全体のすきまチェックを終えればフレーム修理が完了となります。
その後は残りの作業をこなしていきます。
その後の作業画像は省きますが完成となります。
修理完成!

各部最終チェックをして完成となりました。

足回り点検・ロードテスト・ヘッドライトの光軸調整もOK!です。

まだ新車から数百キロのクルマです。
しっかり修理させて頂きました。
まとめ
パッ!と見の外見判断だけでは分からない内部の損傷。
当店ではしっかりとチェックをして画像を残しミエルカしてます。
SNSの普及やホームページ・ブログなどで自社の仕事内容を公開できる時代になりました。
クルマの走行性能を考えると外観よりも足回りやフレームの方が大切なのはお分かり頂けると思います。
命を預けるクルマ。
人を傷つけることが出来るクルマ。
何が重要かを考え、もしもの時の修理の際には、もう一度よく考え修理工場をお選びください。
