事故で曲がった車のフレームの修理のやり方を説明します。
実はここだけの話、フレーム修理のやり方を説明できる板金塗装店は極わずかです(汗)
また損害調査を行ってくれる損保アジャスターさんは、ほぼ理解していません・・・
たまにですが僕のところにフレーム修理のやり方を教えてほしいと同業者さんが来ることもあります。
って事ですので当社のフレーム修正機を使った説明になりますが1人でも多くの人が事故で損傷を受けたフレーム修理の理論を理解できたらと思い記事にすることにしました。
それではフレーム修正のやり方の説明をご覧くださいm(_ _)m
DAIHATSUミラで説明します
車対車の事故。
矢印方向へ相手の車がぶつかった少破損の事故です。
損傷診断
バンパーを丸で囲った部分に穴が空いています。
チェックしたいポイント!
ボンネットに直接当たっていないのに隙間が広がっているのが分かりますか?
逆側もご覧の通り!
バンパーを外して損傷をチェック!
実はコレ右のフレームに相手の車がぶつかって矢印方向へフレームが首を振ってるんです。(曲がり)
実際に目視で確認してもフレームが左に狂ってるのが確認できました。
しかし一般の人にこのフレームの狂いを見抜くことは難しいと思います。
構造を理解した知識が必要です。
自動車メーカー発行のボディー寸法図
▲3次元計測専用チャート
フレームに曲がりが有りますのでこちらのアンダーボディー寸法図を見ながら曲がったフレームを直す準備をしていきます。
これから登場するジグ式の修正機はアンダーボディーを3次元で計測できるので正確な修理が可能な設備です。
ジグ修正機には長さ・幅・高さに1ミリきざみでメモリが付いているのが特長。
定盤の上にメモリがついた状態で車を直すイメージです。
ジグ式フレーム修正機にセット
ボディー寸法図を読み取りフレーム修正機に車体をセット。
赤丸のアタッチメントがジグになります。
分かりづらいですが1ミリ単位でメモリが刻んであります。
今回はボディー寸法が狂っていない車体の後部から前方へかけて4本のジグを使い車体をセットします。
この時にフレーム修正機に対し車体をセンター・水平にセットしてます。
※画像手前のジグで4本目です。
そして次にもう1つ損傷に近い前方の計測ポイントにジグをセット。
ちょうどストラット付近のボルトのところですね!
ここは3次元計測の結果フレームの寸法の狂いはありませんでした。
そして最後にフレームの先端を計測してみると・・・
計測結果!フレームの曲がりを確認
こちら右側のフレームです。
本来は矢印の箇所に赤丸の箇所がきます。
これによりフレームが何ミリ左に振っているかが目視で確認できます。
※ちょっと正面からズレて撮影してしまいましたm(_ _)m
続いて左側フレーム!
正規の位置からズレているのが確認できますよね?
このフレームの狂いを修正していきます。
ご覧の方向へ油圧タワーとクランプを使い引き作業開始。
フレーム寸法が元の位置に直りました!
計測して立てたジグのセンターにフレームが正規の位置へ戻りました。
ここまでがアンダーボディー(サイドメンバー)の修理になります。
次はフレームに損傷を受けた際に寸法が狂ってしまったアッパーボディーの修正を行います。
アッパーボディー寸法図
▲2次元計測専用チャート
こちらがアッパーボディーの寸法図になります。
住宅に例えるならアンダーボディーが基礎。
アッパーボディーは基礎の上に建つ建築物。
基礎が正確でないとその上にちゃんとした建築物が建ちませんよね?
要するにアンダーボディーが狂ったままだとアッパーボディーが正確に直りません。
最終的にボンネットやライトの隙間が合わないってことです!
アッパーボディー計測はトラッキングゲージを使用
アンダーボディーは3次元計測でしたがアッパーボディーはトラッキングゲージを使い2次元計測になります。
計測・修正後は部品の仮合わせ
3次元計測に比べ2次元計測は正確性に劣りますので各部品を組み付けてボンネットの隙間や立て付けの調整を行います。
この仮合わせ作業は大体1~2回で終わります。
フレームが元の位置に戻ったことでボンネットの隙間も正規の位置へ戻りました。
これでフレーム修正が完了となり次の工程へ移ります。
まとめ
床式4点固定だと車体を計測するのに車の下にもぐってトラッキングゲージで2次元計測をするのですが足回りが邪魔で思い通りの計測ができませんでした。
また左右非対称のフレームの寸法には泣かされた経験もあります。
そんな曖昧な計測で修理をしていた時は部品の仮合わせには非常に苦労してきました。
当然時間もかかります。
1番悔しかったのがお客様に対してフレーム修正というサービスの提供に自信が無かったこと・・・
そして色々な情報を自分で調べ最終的に行き着いたのがジグ式フレーム修正機になります。
ジグ修正機を導入してから上記のような悩みが消えました!
フレーム修正は計測から始まり計測で終わります。