「自動車鈑金塗装専門店から発信してます」
車の修理と言えばどんな仕事が頭に浮かびますか?
- 車検や整備
- オイル交換やタイヤ交換
- キズやヘコミの修理
ここでは3.キズやヘコミを修理する鈑金塗装の仕事を工程ごとに紹介してます。
- 自分の愛車がどのような工程で修理されるのか?
- 職人と言われている鈑金塗装の仕事って?
- これから鈑金塗装の仕事をしてみたい!
少しでも鈑金塗装のスゴさや魅力を感じてもらえると嬉しいです!
それでは行ってみましょう!
鈑金塗装の仕事とは?
【鈑金塗装の仕事を簡単に説明】
車をぶつけたり、ぶつけられたりしてボディーにキズやヘコミがついてしまったり事故をしてしまって大きく破損した車を直すことが鈑金塗装です。
店主が見習いの頃に「一人前になるには10年かかる仕事だ」っと親方に教えられました。
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板金塗装で一人前になるとこんな事故車も1人で直せる!
自動車修理の業種の1つ! 「鈑金塗装」 小さなキズやヘコミ~大きく破損した車まで直す仕事です。 沢山の修理工程があることはあまり一般ユーザーさんには知られていません。 その作業工程は、ほとんどが職人の ...
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鈑金塗装の仕事には沢山の工程があります。
またほとんどの作業が手作業で行われるため作業者や修理工場によって仕上がりのレベルや設備・材料は様々です。
「あそこの修理工場は腕がいい」
「あそこの修理工場は腕が悪い」
だれがやっても同じ仕上がりになれば職人さんは必要ないですよね?
職人とは?
職人(しょくにん、英語:craftsman)とは、自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出すことを職業とする人のことである。
それでは自動車鈑金塗装の工程をザッと見ていきましょう!
フレーム修正(内反骨格修正・ないはんこっかくしゅうせい)
衝突したダメージが大きいと車の骨格部分(フレーム)が曲がります。
それを元の寸法に直すのがフレーム修正です。
Y'sボディーではジグ式フレーム修正機と呼ばれる設備を使ってフレームを直してます。
フレーム修正機に車体をセットしたら油圧タワーとチェーンとベルトを使いフレームを修正します。
自動車メーカー発行のボディー寸法図(アンダーボディー)を参照してフレームの寸法をミリ単位で直します。
フレームの寸法が正規の位置に直りました。
こちらはアッパーボディーの寸法図です。
(先程の寸法図はアンダーボディー・こちらはアッパーボディーになります)
このデーターを元にアッパーボディーもミリ単位でフレームを元の位置に修理・交換します。
フレーム修正はフレームが損傷した車を直す工程です。
※フレームを修理すると「修復歴車」になります。
溶接で取り付けてあるパネル交換
こちらはサイドステップのへこみ。
アップで見てみましょう!
前側部分。
真ん中部分。
後ろ部分。
ご覧の通り前から後ろまで鉄板がつぶれてしまってます。
このような損傷になるとサイドステップを取替える修理方法になります。
- また無理をすれば鈑金修理できるがヒズミが残る。
- 部品を交換してしまった方が「修理代が安くなる」など交換の条件はいろいろです。
しかし、ドアやボンネットのようにボルトを外せば交換出来るわけではありません。
サイドステップは車体に溶接されていますので、その溶接を専用ドリルを使い外し、パネルがつながっている部分はエアーソーを使って切り離します。
このような工程でサイドステップを外す必要があるんです!
こちらが損傷部分を取り外した車体です。
内側の骨格が見えてます。
パネルのカット位置も計算して外しています。
取り外したサイドステップです。
こちらが新品のサイドステップ。
新品を車体に取り付けます。
前側部分のカット画像。
新品サイドステップを車体に取付ける作業です。
黒いパネルが新品サイドステップです。
真ん中のセンターピラー部分。
切り取った隙間を溶接してつなげます。
※画像は溶接前の仮合わせ
後部のロックピラー部分。
この仮合わせ作業はちょっとしたコツと技術が必要とされます。
溶接して取付完了!
- 切り取ったつなぎ目部分は半自動溶接機で突き合わせ溶接。
- パネルの重なる部分はスポット溶接機でスポット溶接。
- スポット溶接ができない部分はプラグ溶接。
これらの溶接方法で新品サイドステップの取付が完了です。
こちらが溶接で取り付けてある部品の交換作業工程になります。
※溶接で取り付けてある部品を交換すると「修復歴車」になります。
バンパーやフェンダーなどの部品交換
車は部品の集合体で出来ていますので部品を取替える修理方法もあります。
こちらの車は赤く囲った部分の損害です。
(自動車保険を使った修理)
フロントバンパー右側。
右ヘッドライトレンズにもスリ傷。
右フロントフェンダー中央部に折れ。
今回はこちらの部品を取替をします。
損傷部品を車体から取り外しました。
外した部品は元の位置に取付するのですが事故等の衝撃で取付部が曲がっていたりする場合がほとんどですので取付作業にも技術が必要をされます。
※自動車整備とは違い鈑金塗装は主にボディーパーツの脱着分解を行います。
こちらは取替える新品バンパー(左)とキズが付いた古いバンパー(右)です。
アンダースポイラーにもキズがありましたので取替。
レンズにキズがあったヘッドライトも取替。
中央部に折れがあった右フロントフェンダーも取替。
画像は新品のフロントフェンダーです。
このように外板に取り付けてある部品は色がついてない状態での部品供給ですので塗装をする必要があります。
この工程がボルトオンパーツの部品交換です。
※色が付いていない部品は塗装が必要!
外板(がいはん)ボディーの鈑金
フレームまたは内板骨格(ないはんこっかく)の外側に付いている部品が外板(がいはん)パネルです。
(ボンネット・フェンダー・ドア・トランクなど)
こちらの車はドアとリヤフェンダーを左への内輪差でぶつけてしまったヘコミ。
キズやヘコミの修理は鈑金塗装の仕事の中でも最も多い修理になります。
矢印で貼った箇所が横へのスリ傷に加えヘコんでいます。
逆の角度からも良く確認して修理のイメージをします。
このヘコミを鈑金します。
ヘコんだドアを鈑金しました。
先ずはドアを正規の位置に鈑金してそれを基準にリヤフェンダーを直します。
ハンマー・当て盤や表側から引き出せるスタッド溶接機を使って修理するのが一般的です。
続いてリヤフェンダーの鈑金が完了です。
ヘコミを直す自動車鈑金とは出来るだけ鉄板を元の位置に戻す事を言います。
鈑金でナラシきれなかった部分はパテを使い形を成形します。(下地作業工程)
ヘコんだ鉄板を極限まで元の状態に戻す事は高度な技術が必要とされます。
グッチャリとヘコんで交換しなければならない程のパネルを鈑金で直してしまう技術をもった職人さんは全国各地にいます。
また鉄板の修理は鈑金屋さんらしい仕事でもあります。
こちらが外板ボディーの鈑金工程になります。
下地工程
下地工程は沢山あります。
こちらはヘコミを鈑金した後パテで形をつくったところです。
こちらの車はパテ成形後にサフェーサーと呼ばれる下地塗装を吹き付けた後です。
グレーの部分がサフェーサーです。
乾燥させた後、研磨していきます。
こちらはドアの足付け作業です。
細かなペーパーキズを入れ上塗り塗装の密着やハガレを防止する作業になります。
ツヤが引けた部分を塗装します。
新品部品のヘミング部に防錆のためにシーリングを入れます。
白いのがシーラーです。
▲Y'sボディー店主のシーラー塗布動画です。
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マスキング
下地工程を終えるとマスキングをして上塗り塗装の準備をします。
塗装する箇所以外はこのように色がつかないようにマスキング(養生)をします。
塗装
一発勝負の塗装です。
塗装を覚えたくてこの仕事に就職する人がいるほど魅力がある工程です。
※しかし鈑金塗装は1つ1つの下地工程があっての塗装工程です!急がば回れ!
塗装するスプレーガンです。
カッコイイですね!
海外ブランド~JAPANブランドのスプレーガンを所有しています。
スプレーマンにとってお気に入りのガンで塗装するのも1つの楽しみでもあります。
磨き
▲塗装後の肌調整磨き
塗装後はホコリや細かなブツが塗装した箇所に付着します。
それらを除去したり塗り肌の調整のために磨き作用を行います。
組み付け・完成検査
一連の修理を終えると部品の組付けや電子部品のチェックを行います。
大きな事故車はアライメント調整をしたりロードテストも行います。
最後は洗車をして納車になります。
まとめ
これでもかなり大雑把に鈑金塗装工程を紹介しています。
もちろん紹介できていない工程もあります。
車のキズヘコミ修理は同じものが2つと無くむしろ色々なメーカーや車種、ボディーカラーも様々です。
毎日が常に新しい修理と向き合っていることになります。
僕はこの道20年ですが今でも苦戦しますし、仕事内容によってはとても神経を使います。
自分自身それを楽しみに変えられますのでモチベーションを落とさずに継続出来ています。
ほぼ全てが手作業の鈑金塗装の仕事!
なんとなくでも魅力を感じたり理解してもらえたらうれしいです!