当店は2006年に独立開業以来、実にフレーム修正機を買い換えること3機種目。
とても高額な設備投資ですので非常に大変な思いをしてきました。
(まだまだ借り入れの返済が残ってますので現在進行系です)
ポジティブに行きましょう(笑)
しかしそんな苦悩と引き換えに知識、知恵、経験値がつき大変勉強になったのも事実。
この記事ではその3台の特徴と最終的にジグ式フレーム修正機に行きついた経緯をご紹介します。
あなたのフレーム修正機選びのお役に立てば幸いです。
先ずは1台目 床式4点固定 モノコックスタンダード
周りからは大丈夫かコイツ?っと思われていたと感じます・・・(笑)
アッパーゲージ、アンダーゲージ付きですが床の埋込レール面の水平出ていなかったため、いまいちゲージを信用出来ない日々を送っていました。
また中古だったためアッパーゲージの精度もイマイチ信用に掛ける部分がありました。
結論を言うとレールの水平をとっていなかったのが失敗です。
非常に苦い経験です。
※床の埋め込みレールの水平は必ずとりましょう。
平成初期・軟鋼鈑で作られた車両までは対応OK!
▲このような損傷でも軟鋼板で製造された車両には対応できました。
(ドリフト走行で左リヤフェンダーを派手にぶつけた損傷です)
床式修正機とはサイドシル4点にクランプで固定する車体固定装置です。
簡単に言うとただ単にサイドシルにクランプを噛ませ車体を固定するだけです。
ここにモノコックスタンダードの場合は計測用のゲージが付属します。
修正に使う機材はタワー、チェーン、クランプ、ベルト類です。
粗出しでここまで直る!?
▲この画像では見えづらいですが車体のサイドシル部分に黄色い固定用クランプを挟み固定しています。
※挟み込んだ痕があるかどうかで事故車か見分ける箇所です。
車体を固定すればタワーとチェーン、ピラニアクランプを使い損傷部位を強い力をかけて引き出します。
このように粗修正ですがある程度の位置まで戻すことができます。
現在の高張力鋼板に比べると面白いように修正作業が出来ていました
▲使える部位は交換せずにフレーム修正や鈑金修正で形にする事ができました。
フレームの鉄板が座屈していても軟鋼板ならハンマリングで元の形に戻せましたからね。
今の高張力鋼鈑では無理です。
座屈(ざくつ)している箇所を引き出したりするとクラックが入ったり裂けたりします。
※高張力鋼板の座屈は交換指定になってるので注意。
また高張力鋼板はハンマリングしても鋼鈑が硬いのでパ~~ンとハンマーが弾かれてしまい鈑金不能です。
しかし軟鋼鈑だとこれだけの損傷が元に戻ったのです。
こちらの車両は価格重視でしたので細かいチリや建て付けにはOKを頂いていました。
そして時代の変化で車の鋼鈑も進化していきます
▲このころから軟鋼板から高張力鋼板(ハイテン材)の使用の車両が増え、引っ張り作業時のスプリングバックが発生してサイドシル4点固定の不自由さを感じておりました。
こちらは当店の代車で使用していたH19年式トヨタ パッソ
▲この頃、さすがにフレームの補助固定が欲しくなり次の2台目となる車体固定装置の購入を決意!
このパッソの修理の時にメーカーさんにデモに来てもらいました。
そして2台目に導入したのがジグ固定ができるクイックリーシステム
▲ジグ式車体固定装置クイックリーシステム(現在販売終了)
こちらはモノコックスタンダードをベースに考えられ作られています。
モノコックスタンダードで4点固定をしてクイックリーで補助固定を入れる事によりフレーム修正時の2次損傷を防ぐ事ができて重宝していました。
黄色いジグと横に通っているアルミのレールがクイックリーシステムです。
クイックリーシステムの嬉しい機能!車体寸法の高さを計測できます
▲赤矢印のハイトゲージを使いボディー寸法図を見ながら仮想基準線を元に高さが確認できるんです。
しかし当店の床の埋込レール面の水平が極端にバラバラでしたのでこちらも宝の持ち腐れになっていたんです・・・(悩)
日本製なのでコンパクトで細かな部品1つ1つの作りの精度も良く、床式のジグ修正機としてはかなりパフォーマンスをもっている機種でした。
ただし使いこなすには経験値が豊富で応用が得意な職人さん向けだと感じます。
※固定レール面の水平は必ずとりましょう。
クイックリーシステム収納画像
▲丈夫なラックを別途購入して綺麗に収納するのが楽しくて仕方がなかった事を今でも記憶しています。
こちらの付属品も壁掛け方式で綺麗に並べてました
▲どうやって並べようか考えて考えてレイアウトを変えてみてはと最終的にコレにしよう!と行き着きます。
サイドシルが無い場合のクイックリー単体での固定
▲軽トラックなどサイドシル部で固定出来ない時にクイックリーシステムが活躍します 。
色々なアタッチメントを駆使して自由度が高い固定作業が可能でした。
こちらは上の軽トラックとは別の車両
▲こちらはフロントパネル、左フロントピラーと大掛かりな交換作業となりました。
固定装置はクイックリーシステム。
クイックリーシステムはユニバーサルに固定できるし良く考えられて作られいる優れもの!
そして独立7年目。
独立当初に県の制度資金の借り入れの創業支援資金(7年返済)が完済することもあり、丁度いいタイミングでしたので思い切って次のフレーム修正機を購入する意思を固めました。
そして3台目 ジグ式フレーム修正機 スパネージ セリエタイガーベンチを導入!
▲現在使用中で活躍中の⇒イタリア製ジグ式フレーム修正機スパネージ セリエ タイガーベンチ
DIMA UNIVERSALE/univerl jig Made in Italy
リフト機能も付いていますので作業中の体の負担も軽減できます。
車のキズヘコミは大体は人の腰の高さよりも低い位置での損傷になります。
ですので修正作業が無い場合でもリフトを活用して色々な作業が出来るのも大きなメリットです。
※オプションでアッパーボディーを計測できるマクファーソンゲージも購入しました。
事故で損傷したフレームの寸法出しやトータルの作業時間や作業精度が向上
それまで感覚にたよっていた作業も計測により的確な作業に変わりました。
定盤の上に車をセットしているイメージです。
メーカー発行ボディー寸法図
▲寸法図を確認しながらアンダーボディーの高さ、幅、長さの3次元計測が可能となりました。
アッパーボディー寸法図
▲ジグで寸法出しを決め、基礎となるアンダーボディーの修正作業が終わればお次はアッパーボディー の計測と修正。
こちらは同業者さんからの入庫
※エンジンを下ろしてきてもらって積載車での持ち込み入庫になります。
修正機本体がベースとなってますので床面が水平取れてなくても大丈夫です。
- カーディーラー様
- 整備工場様
- 一般ユーザー様
- 同業者様
からのご依頼や信頼が向上しました。
まとめ
- 床式4点固定 計測器付きモノコックスタンダード
- 床ジグ式固定装置クイックリーシステム
- リフト付きユニバーサルジグ式フレーム修正機スパネージ セリエタイガーベンチ
このように僕は3台フレーム修正機を使ってきました。
最終的に行きついたのがジグ式のフレーム修正機です。
- 大きなダメージの車両も正確に直せる様になり計測器のおかげで仕事の精度と自信、信頼にもつながりました。
- オーナー様へ今までよりも自信をもって納車することができました。
- 当店の看板設備にもなり新規業者さんからの仕事も増えました。
安全安心を追求しこれからも精進していきます。
大きな設備投資、失敗は許されません。
失敗から学んだ事が沢山ありますので少しでもお役に立てれば幸いです。