現在、コンパウンドの監修や鈑金塗装の現場目線での情報提供、改善点、また今後の開発に関するお手伝いをさせて頂いております。
この記事では開発の方と情報共有や監修をして頂き、鈑金塗装業者様向けにラインナップされているコンパウンドの概要や株式会社ムラタ 水溶性コンパウンドALMAシリーズについてまとめています。
コンパウンドの特徴を理解することで普段の作業の意識レベルが変わり、効率UPや改善点が見つかると思います。
今まで知らなかったコンパウンドの概要や現在あなたが使っているコンパウンドとの比較、今後のコンパウンド選びのお役に立てれば幸いです。
それでは見ていきましょう!
水性・水溶性・油性コンパウンドとは?
業界ではこの3種類基準で分類
- 水性:油分がかなり少ないが入っている
- 水溶性:水に溶ける
- 油性:水に溶けない
この基準には賛否ありますが、一般的に水性というと、油分を含んでいないのが普通。
現在は油分が多いコンパウンドと少な目なコンパウンド、この2つが主流だと認識してください。
油性は昔にあったコンパウンド。
油性・水性コンパウンドの特徴や違い
上記で説明した事から分かりやすく油性と水性に分類して特徴や違いをまとめました。
参考
- 油性⇒コンパウンドに含まれる油分が多い
- 水性⇒コンパウンドに含まれる油分が少ない
油性コンパウンド
- 研磨力、肌調整力が強い
- 油が傷を隠しやすい
- コンパウンドによるが溶剤臭がある
- ペーパー目が見えず視認性が悪い
水性コンパウンド
- 研磨力、肌調整力が弱い
- 磨き後の拭き取り作業が容易
- 臭いが少ない
- 視認性が良い
使いやすさは圧倒的に水性ですが、研磨力を求める方は油性を好み、油分が多いということは使いやすさよりも研磨力に重点を置いているという事です。
特に鈑金塗装の現場では塗装後の肌調整やゴミブツのペーパー目消しに使う初期研磨用コンパウンドは油分を多く配合して研磨力を上げているのが一般的です。
崩壊型(ほうかい)=粉砕型(ふんさい)コンパウンドとは?
コンパウンドには細かな粒子が入っています。
粗目のコンパウンドを指にとって触ってみると粒子が入っているのが分かります。(粒がザラザラします)
一般的なコンパウンドは粒子が崩壊せず研磨力を維持できる仕組み。
崩壊型(ほうかいがた)=粉砕型(ふんさいがた)と呼ばれるコンパウンドは磨き中に粒子が崩壊して細かくなる事で崩壊しないコンパウンドに比べ仕上がりレンジ幅が広く設定されています。
その反面、崩壊型は磨くにつれて研磨力が落ちます。
崩壊しないコンパウンドに比べ仕上がりは良くなります。
【公式動画】株式会社ムラタ 自動車補修塗装用 水溶性ALMAコンパウンド
▲概要をYouTubeからご覧いただけます。
ALMAコンパウンドの特徴と強み
- 特殊粒子配合のノンシリコン・ノンワックスの水溶性コンパウンド(水性に比べ油分は多め)
- 自動車補修塗装に適した砥石(といし)を自社で開発と設計をしている
- コンパウンドは少ない量でも磨けるためランニングコスト削減
- ALMA-HCと100Lは崩壊型=粉砕型コンパウンド(300Lは崩壊型ではない)
- 崩壊型だけど研磨力を持続する独自技術
ALMAコンパウンドシリーズ(HC・100L・300Lの3種類)は独自のアルミナ加工技術により塗装に適した研磨材を配合しており、研磨力と仕上がりを両立。
作業時間の短縮やコスト削減が可能なコンパウンド。
「ALMAコンパウンド独自の強み」
自社で砥石(といし)加工を行っており、塗装面に対して相性の良い砥粒(とりゅう)を研究し、コンパウンドを作っている。
くっついている砥粒が初期の研磨力を生み出し、研磨時に徐々に崩壊して独立していき、仕上がり重視となります。
一般的な崩壊型・粉砕型のコンパウンドは崩壊後に研磨力が落ちるという欠点がありますが、ALMAはアルミナを独自に追究することで崩壊後でも研磨力が持続するという強みがあります。
そのおかげで強い研磨力とオーロラが浅く均一な仕上がりの良さがうまれます。
また、シリーズに共通して粉の飛散が少なく、作業時間の短縮を図れるコンパウンドとなっています。
(水性コンパウンドブームだが、研磨力重視層の方がまだまだ多く、背景には水性コンパウンドの研磨力の低さがある。)
ALMAコンパウンド研磨レンジ表
各コンパウンドのレンジ幅が広いので3ステップの工程を行えば誰でも確実に仕上げる事が出来ます。
また表をご覧になって頂くとレンジ幅が被っているHC⇒300Lの2工程でも仕上げることも出来ます。(100L⇒300Lも可能)
淡彩色やそこまで仕上げ重視でない場合なら100Lのみで初期研磨~仕上げも可能。
ALMA-HC 750ml
■HC
こんな場合におすすめ
- とにかく切れが良く!それに加え深い傷が入りにくい初期研磨用コンパウンドをお探しの方!
- 時短を行いたい
- 硬質塗膜の磨きに困っている
- 新車塗膜の頑固なウォータースポット
- 耐擦傷性クリヤーやセルフリストアリングコートの初期研磨に困っている
- ペーパー目除去目安:1500~2000番
- 少量と塗布で強い研磨力
- バフ目が浅い
- 粉飛散が少ない
- 作業効率向上
- 耐スリコート対応
- ノンシリコン・ノンワックス
- 崩壊型コンパウンド
HC⇒肌調整 ペーパー目消し
崩壊型コンパウンド
一般的な「崩壊型=粉砕型」コンパウンドは崩壊後に研磨力が落ちるという欠点がありますが、ALMA HCはアルミナを独自に追究することで崩壊後でも研磨力が持続するという強みがあります。
研磨力重視で、磨きに時間のかかる硬い塗膜、乾燥時間が長い塗膜、旧塗膜、食いつきにくい塗膜などでも短時間でペーパー目の除去が可能。
崩壊型砥粒でオーロラが均一なため、次工程の時間短縮が可能。
HCを使う理由は磨きが大変、時短したいという方向けに少しでも時間短縮出来るよう開発しております。
HCとウールバフを使う場合、バフが目詰まりした状態で熱をかけて磨き続けると深いバフマークが入ります。
これはHCがコンパウンドを貯め込む特性を持たせているデメリットです。
どのコンパウンドでも同じですがマメなバフの清掃が必須です。
粉の飛散が少なく飛び散った粉も乾燥していて磨き後の清掃が格段に楽というメリットがあります。
HCはなぜ!セルフリストアリングコートの初期磨きに有効なのか!?
通常塗装とセルフリストアリングコートでは、一般的なコンパウンドではセルフリストアリングコートに対して研磨力が下がる傾向があります。
ただHCのみ、通常塗膜と変わらずに研磨力が発揮できます。
これもグリップ力があるからこそと考えています。
グリップがある事でスリップ性のあるクリアや硬質塗膜に対応出来ているという部分があります。
注意する点はグリップ力があることでポリッシャーとバフの相性によってはバフが暴れます。
この点は初心者や女性には使いづらさを感じるポイント。
コンパウンドの量は少なくても研磨性が良いのでポリッシャーを低回転にして熱の発生を少なくして磨けることも大きな特徴です。
ALMA-100L 750ml
■100L
こんな場合におすすめ
- ALMA-HCの傷消し
- 柔らかいクリヤーの初期研磨
- 柔らかいクリヤーのペーパー目消し
- 仕上がり重視層
- 淡色車
- ペーパー目除去目安:2000~3000番
- 伸び良好
- バフ目が浅い
- ダブルアクションポリッシャーにも最適
- 粉飛散が少ない
- 耐スリコート対応
- ノンシリコン・ノンワックス
- 崩壊型コンパウンド
100L⇒ペーパー目消し・淡色仕上げ
崩壊型コンパウンド
一般的な「崩壊型=粉砕型」コンパウンドは粉砕後に研磨力が落ちるという欠点がありますが、ALMA 100LもHC同様にアルミナを独自に追究することで崩壊後でも研磨力が持続するという強みがあります。
クリアの状態を確認しながら磨けるコンパウンド。
こちらも崩壊型の砥粒を使用し、淡色車ではオーロラの少ない仕上がり。
伸び、操作性がよく、使いやすさ重視のコンパウンド
3000番の傷を消そうとした場合、早く終わらせたいとHCで荒削りするよりも3000の傷に入り込む100Lを使用する方が忠実にその傷が消えていくイメージ。
100Lは肌を見ながらじっくり調整していく方向けです。
同等の研磨力のコンパウンドに比べバフ傷が均一で浅い。
一般的な水性コンパウンドよりも油分が多いので次の工程へ移るときは脱脂してマイクロファイバークロスでよく拭き取りバフマークやペーパー目を確認する必要があります。
ALMA-300L 750ml
■300L
こんな場合におすすめ
- HC・100Lを使用する方
- ダブルアクションの手前までシングルで仕上げる方
- 水性よりも油分が多いコンパウンドで仕上げたい方
- 深いバフ目の除去可能
- 高光沢
- 濃色車仕上げに
- ダブルアクションポリッシャーにも最適
- 耐スリコート対応
- ノンシリコン・ノンワックス
300L⇒バフ目消し・仕上げ。
崩壊型コンパウンドではない。
シングルでもスッキリした仕上がりで油分がなくなるまで磨くことでもう一段階上の仕上がりになります。
300LでHCと100Lどちらのオーロラも除去可能。
一般的な水性コンパウンドよりも油分は多め。しっかり脱脂してマイクロファイバークロスで拭き取って確認しましょう
コンパウンドオフAL
株式会社ムラタ コンパウンドオフAL 450mlスプレーボトル
ノンアルコール脱脂剤
【カタログ】コンパウンドオフAL
特徴
- ノンアルコールで人体や環境に優しく安全
- 油、汚れを浮かせて完全除去
- 軽い力でムラなくスムーズに拭き取り
- 帯電防止/無臭
- 非危険物/非引火性
用途
- コンパウンド脱脂によるペーパー目、傷の確認
- 塗装前、コーティング前の脱脂
- 焼き付いたコンパウンドの除去
- バフのメンテナンス
- 窓ガラスのクリーニング
- 新車保護シート剥離後の糊落とし
- 内装クリーニング
- 虫死骸の除去 etc.
『IPA・コンパウンドオフ・水性シリコンオフとの比較レビュー』
- IPA(イソプロピルアルコール)⇒揮発性が高く、場合によっては痕が残る。アルコール臭が苦手な人もいる。
- コンパウンドオフ⇒アルコールや溶剤が入っていないので安心感がある。帯電防止効果も有り。揮発性は水性シリコンオフなみに遅い。無臭で体にやさしい。水性シリコンオフよりも脱脂力は弱い。
- 水性シリコンオフ⇒この中では一番脱脂力が高い。とはいえ、通常のシリコンオフに比べると弱い。塗装直後に磨く場合、クリヤーの締りが悪いと少し心配な場合がある。とはいえ、水性シリコンオフもコンパウンドの拭き取りにはかなり使える印象。
【磨き作業ショート動画】
▲当店のYouTubeチャンネルショート動画
ALMA-HCから300Lの2種類で磨き。
まとめ
今まで詳しい特徴などを知らずに使っていたコンパウンド。
今回、コンパウンドの開発者と繋がらせて頂き基本的な情報をインプットさせて頂くことが出来ました。
今後も開発目線でのネットには無い情報や鈑金塗装の現場目線の情報をミックスして、よりわかり易く読者様にご提供できるように努めて参ります。
この記事は不定期にアップデートを行っていきます。
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いつもありがとうございます。
I LOVE 鈑金塗装 代表小林