こちらの機械は事故などで大きな衝撃を受けた自動車のフレームを直す設備です。
僕ら自動車板金塗装業界ではジグ式フレーム修正機と呼ばれています。
今回は事故車を直す上で必要なジグ式フレーム修正機って?
自動車メーカー発行のボデー寸法図とは?
そしてフレーム修正機を使った画像をまとめてみました。
ジグ式フレーム修正機とは?
主にこの手のタイプのジグ修正機は自動車先進国ヨーロッパが発祥です。
当店で使っているこちらのスパネージ社の修正機はイタリアのメーカーです。
日本国内にはこのようなジグ式フレーム修正機は販売されていません。
輸入によって日本に入り自動車修理工場が使用しています。
イメージとしては目盛りが付いた定盤の上で車両を修理する設備になります。
高さ・幅・長さの目盛りが付いているのでアンダーフレームの3次元計測が可能です。
ちなみにヨーロッパではジグ式のフレーム修正機で直したクルマは260kmで走行しても大丈夫です!と保証するらしいです。
ジグ⇒治具。
イタリア語でジグはディーマ(DIMA)
こちらの関連書籍でいろいろなフレーム修正機を使った車体固定方法が記載されてます。
今回ご紹介のジグ修正機も記載されてます。
ミリ単位での修理
このように目盛りは1ミリ単位です。
画像は中心が0になっており左右に広がるにつれて目盛りが増えていきます。
こちらの目盛りは幅の計測に使います。
クルマのセンターを0ミリに合わせれば左右に何ミリフレームの寸法が狂っているかが分かります。
上記で説明したとおり、他に長さと高さの計測も可能です。
↓こちらの関連記事で実際の修理事例をご紹介してます↓
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ボディー寸法図とは?
アンダーボディー寸法図
このような自動車メーカー発行のボディー寸法図を基準に車両をジグ修正機にセットしていきます。
クルマのフレームは車両先端からキャビンの下を通り後方へとつながっています。
フレームに足回りの部品が取付けてありますので事故で寸法が狂ったままのフレームだと当然足回り取り付け部分も狂って付いていると言う事になりますので真っ直ぐ走らない現象がおこるんです!
ちゃんと寸法どおりに直したフレームに損傷の無い足回りを取り付ければ真っ直ぐ走るという理屈です。
(最後に四輪アライメントは必須です)
※こちらの寸法図は高さです。他にも幅や長さを観れる寸法図も御座いますがここでは割愛します。
プロトリオス社からボディー寸法図が発売されています。
ボディー寸法図集はこちらから誰でも購入が可能です。
自動車の生産ラインでは
画像出典元:価格.comマガジン
治具台の上に生産途中の車両が載っかっているのが分かると思います。
1台1台フレーム寸法が決まってますのでこちらの治具さえあれば同じ寸法のクルマが出来上がるってわけですね。
ポイントは治具の上にクルマが載っているって事です!
アッパーボディー寸法図
こちらはアッパーボディーの寸法図です。
アンダーボディー、いわゆるフレームの寸法を直したら次はアッパーボディー(ラジエターサポート)を直していきます。
基本アンダーボディー(フレーム)の上にアッパーボディーが搭載されているので基準となるフレームの寸法が狂っていてはアッパーボディーが思うよに取り付ける事が出来ません。
なので基準となるフレームを先ずは直してからアッパーボディーを直します。
フレームは住宅で言う基礎とお考えください。
溶接で取付けてありますので仮に狂ったまま取付けてしまうと後々ヘッドライトやボンネットの隙間が合わなくなり取り返しがつかなくなります。
※適当に直した修理だとよくボルトが取り付く穴を広げてある車両をたまに見かけますね・・・
こういった事が無いようにフレーム修理はしっかり計測を行い何処が何ミリ狂っているか把握をしたうえで修理しないといけません。
命を載せているクルマですから修理工場側もそれらをしっかりと受け止めなければなりません。
それでは修理車両の固定画像集行ってみましょう!!!
ジグ固定 画像集
ダイハツ ムーブコンテ
同業者さんからフレーム修正だけのご依頼。
エンジンは降ろして来ていただいてからのご入庫。
修正完了!
ホンダ フィット
GE Fit
追突でリヤパネル取替及びフレーム計測・修正
ロケートホールを使い計測・固定。
ダイハツ ムーブ
こちらは修正機導入1発目のお仕事!
バックパネル取替・フロアー修理の小破ですがリヤフレームの寸法の狂いが確認出来ました。
フレーム修正機とリフトが一体型になっているのでとても便利です。
修正作業が無い場合などは作業用リフトとして大活躍しています。
スバル サンバートラック
床式フレーム修正機では固定が困難な軽トラックです。
ジグのアタッチメント選択し固定します。
足回りの強固なリヤアクスルを利用して挟み込む形で固定。
ホンダ EK4シビック
不意の事故による衝突。
一度はスクラップを考えたがオーナーさんの強い思いで復活することに・・・
足回り計測・固定箇所。
こちらも同様。
計測⇒固定。
ボルトキット
固定に使うボルトキットです。
スズキ ワゴンR
こちらは牽引フックの鉄板が厚くかた~~い箇所の損傷でした。
かたくて厚い鉄板は強固な力での修正が必要とされます。
そんな時にはジグで補助固定が入っていると安心です。
ホンダ インサイト
後ろからの追突です。
右サイドメンバーの後部一部を取り替えたのですが非常に鉄板が硬く、入り組んでいる場所でした(汗)
ホンダ NBOX
ホンダ車特有のボディー左右に象のような鼻の形をしたフレームがあります。
しっかり固定して修正中。
どんなアタッチメントを使うか考えながら固定していきます。
【動画】スパネージ ジグ修正機
スパネージ修正機リフトアップ
フラットに埋め込まれたスパネージ社のフレーム修正機のリフトアップ動画です。
どの位の高さまで上がるか参考にしてください。
まとめ
昔の軟鋼板とは違い現在は高張力鋼板が多様化されました。
構造自体が変わっているので修理方法も変えなければクルマが直りません。
作業者の頭の中身も昔のままだとダメです。
時代時代に合わせたアップデートが必要です。
- ステップ4点固定だけだと、フレームに2次損傷が出たり・・・
- ステップにいかにも事故車ですの固定の傷跡が残ってしまったり・・・
- 左右非対称のフレームに難儀したり・・・
- クルマの下に潜って計測するけど足回りの部品で計測が出来なかったり・・・
- 床式修正機の時は床のレールが水平でなかったため高さ計測が出来なかったり・・・
- 経験や感覚で直すんだ!っと偉そうな事言ってみたり・・・
- アッパーボディーの寸法が中々合わなかったり・・・
- パネルのチリ合わせのために何回も何回も仮合わせしてみたり・・・
ジグで計測固定するようになってからは、そう言った悩みが解消されました♪